メダカの新種を作る

メダカの新種を作る

このページでわかること

  • 新種メダカを誕生させるための考え方
  • 品種改良メダカについて
  • メンデルの法則について
  • 優性の法則と分離の法則について
  • 親メダカを選ぶポイント
  • 新種メダカの名付けについて

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メダカにはまだ見つかっていない新種も存在していると言われており、誰にでも新種を生み出せる可能性があります。

「新種メダカ」を生み出して、名付け親となるチャンスを狙ってみてはいかがでしょうか?

生まれてくるメダカを予測する

新種メダカ

親になるメダカを選んで繁殖させることで、自分の好きな色や形のメダカを増やすことが可能です。

遺伝の法則を理解して、親となるメダカを選び「こんなメダカが生まれてくるだろう」と予測することが新種メダカを誕生させるために必要です。

品種改良メダカとは

品種改良メダカは、日本の野生メダカに現れた「突然変異」を交配して作られたメダカのことです。

例えば、野生メダカの中に現れた純白の体色が美しい「白メダカ」同士の交配を続けることで、より体表が美しい白メダカが生まれてくるようになる、というわけです。

メンデルの法則とは?

生物の形質の相違は、遺伝子によって決定されます。この遺伝に関する法則を研究したグレゴール・メンデルは、19世紀に植物の交雑実験を通じて、後に「メンデルの法則」と呼ばれる重要な発見をしました。

メンデルの法則には、以下の3つの基本原則があります。

「優性の法則」:交雑によって生じた雑種の第1世代(F1)では、優性形質だけが表現され、劣性形質は潜在します。これは、優性遺伝子が劣性遺伝子を支配し、その形質が現れることを示しています。

「分離の法則」:雑種の第2世代(F2)では、優性形質と劣性形質が分離して現れます。具体的には、F1世代の個体同士が交雑すると、F2世代では優性形質を持つ個体が3/4、劣性形質を持つ個体が1/4の割合で現れることが予測されます。

「独立の法則」:2つ以上の形質がある場合、それぞれの形質は無関係に遺伝します。つまり、ある形質の遺伝が他の形質の遺伝に影響を与えないことを示しています。ただし、この法則は連鎖遺伝や染色体上の遺伝子の位置が近い場合には、必ずしも適用できないことが後の研究で明らかになりました。

メンデルの法則は、遺伝学の基礎となる原則であり、現代の遺伝子研究や品種改良においても重要な役割を果たしています。しかし、遺伝のメカニズムは複雑であり、メンデルの法則だけでは説明できない現象も多く存在するため、現代遺伝学はこれらの法則を発展させた理論や手法を用いて、生物の遺伝に関する研究を進めています。

メンデルの法則、優性と分離の法則

  • 白メダカ×白メダカ=白メダカ
  • 赤メダカ×赤メダカ=赤メダカ
  • 茶メダカ×茶メダカ=茶メダカ

交配図

優性の法則と分離の法則

まずはオス一匹、メス一匹で交配させた子供を「F1」に、その子供どうしを交配させて生まれた子供を「F2」とします。
さらに、その子供どうしが交配して生まれた子供を「F3」といいます。
また、子供とその実親を交配させることを「戻し交配」と呼びます。

メンデルの法則では、F1には両親の良いところ、悪いところの両方に優性遺伝子が現れます(優性の法則)。
F2には、両親に似た子供と、F1に似た子供とに別れます。
これが分離の法則です。
そして、F3には、F1とF2の特徴が様々に現れますが、このときに出来るだけ色や形の似通ったメダカを選んで交配することで、親に近いメダカの発生率が高くなります。

ただし、F4、F5と続けて交配を続けてしまうと、弱いメダカになってしまいます。
そうならないためにも、交配はF3までに留めておいたほうが安心といえるでしょう。

黒色が強いメダカを作るには?

黒色メダカを作る

例として、特に黒色が強いメダカを作るための交配の手順を説明していきます。

まず、できるだけ黒色が強いオスとメスを1対1で交配させます。
すると、F1では黒色の濃いメダカや薄いメダカが生まれてきます。
この子供たちの中から、特に色が黒いオスとメスを選び、再び1対1で交配させます。

次に生まれてきた子供(F2)の中にも、色が濃い、薄いメダカが生まれていますので、この中からさらに色の濃いもの同士を1対1で交配することで、「F3」を作ります。
この段階になると、かなり濃い黒色の子供が生まれていることでしょう。

限りなく「赤色」に近いメダカを作るには?

黒色メダカを作る

メダカは元々は、オレンジや黒、白、虹色の4色素を持っています。
赤系統はオレンジなので、純粋な赤色になるには限界があります。

一方、先ほど例として説明した黒メダカは、元々の色素に「黒」がありますので、比較的濃い黒メダカを作ることが容易となるわけです。

純粋な「赤色」のメダカを作りたいという場合は、交配の途中で「薄い黒色を持つメダカ」を交配させることで、見た目的には赤色に近いメダカを作ることができます。
この様な方法で交配した品種改良メダカに「楊貴妃メダカ」があります。

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生み出したい理想のメダカをイメージする

子供のメダカの色は、親メダカの色の組み合わせや強弱で決定されます。

交配を行う前に、子供の色がどのように出るのかを予測してから親を決めるようにしましょう。

先に説明した「メンデルの法則」では、オスとメスが1対1となっていますが、メダカの交配と産卵の「親にするメダカを入れる割合」の項目でも書いたように、オスとメスの割合が1:2となるのが理想です(オス1匹に対してメスが2匹)。

この割合にする理由としては、片方のメスとオスとの相性があまり良くない場合、もう一匹のメスが卵を産んでくれる場合があるためです。

親メダカを選ぶポイントは?

  • 形や色、艶のよいメダカ
  • 健康体のメダカ
  • オス1匹に対してメスは2匹を水槽に入れる
  • 親の体色から子供の体色を決める

新種のメダカは突然生まれる

新種メダカの写真

メダカの新種が生まれることを期待して、親の色や形を吟味して交配を行っても、必ずしも予想通りの子供が生まれてくるわけではありません。時には、全く予想していなかった姿形や色を持ったメダカが生まれることがあります。これが、突然変異によって生じた新種のメダカであることがあります。

現在の品種改良によるメダカには、様々な種類のメダカの遺伝子が混ざり合っています。そのため、過去に受け継いだ遺伝子が突然現れて、孵化させたメダカにその特徴が出ることがあります。そのメダカが、これまで確認されたことがない新種のメダカである可能性があるのです。

突然変異は、自然界では珍しくなく、生物の進化や適応の過程で起こる現象です。この突然変異により、新たな形質が生じ、生物が変化することで、環境に適応しやすくなることがあります。一方で、突然変異によって生じた新種のメダカが必ずしも生き残るとは限らず、適応力や繁殖力によっては自然界で消滅してしまうこともあります。

新種のメダカが突然生まれることは、遺伝学や生物学の観点から興味深い現象であり、研究者たちもそのメカニズムを解明しようとしています。また、観賞魚としてのメダカの飼育者たちも、新たな品種や特徴を持つメダカを見つけることに興味を持っており、突然変異による新種のメダカは、飼育や品種改良の対象となることがあります。

新種メダカには名付け親になれる!

新種メダカを発見イラスト

新種メダカを発見した場合、そのメダカにあなたが考えた名前を付けることが可能です。

新種メダカの定義は、「今までにない色合いや姿形をしており、さらにその固体を再度交配しても、同様にその形質を受け継いだ子供が生まれること」とあります。

子供に同形質を受け継がせることを「固定化」といいます。
この固定化があって初めて、「新種メダカ」として認められることになります。

鯉や金魚に比べてメダカの歴史はまだ浅く、誰にでも新種のメダカを発見するチャンスはあるのです。
メダカの繁殖の面白さの一つとして、この「新種発見」の楽しさもあるといえるでしょう。